「USBデバイスが認識されません」というエラーが出る…
「いつも使っているUSBメモリが反応しなくなった…」
パソコンのUSBポートが機器を認識しないトラブルは、非常に多くの方が経験します。原因はソフトウェア(ドライバー)の不具合から、ポート自体の物理的な破損まで様々です。
⚠️ 焦って抜き差しを繰り返さないでください
認識しないからといって安易な操作を繰り返すと、状態が悪化し、最悪の場合ショートしてマザーボードを損傷したり、大切なデータが失われたりするリスクがあります。まずは原因を切り分けながら、段階的に対処することが重要です。
この記事では、USBポートが認識しない場合の原因の切り分け方、ご自身で試せる対処法(ドライバ更新など)、そして修理に出した場合の料金目安までを詳しく解説します。
1. 原因はどこ?物理故障と論理故障の見分け方
まずは、問題が「物理的な故障」なのか「ソフトウェア的な(論理的な)故障」なのか、そして「PC本体側」か「USB機器側」かを見極めることが重要です。
💡 USBトラブルは「水道の蛇口」と同じ
この問題は、水道の蛇口が壊れた時の対応に似ています。
- 論理故障(ソフトウェア):水道管の設定ミス(元栓が少し閉まっている)で水の出が悪い状態。これは設定(ドライバーの再インストール)をリセットすれば直ります。
- 物理故障(ポート単体):特定の蛇口がグラグラしている状態。そこから無理に水(電力)を流し続けると、壁の内部(マザーボード)まで水漏れし、修理費用が高額になります。
まずはどこが壊れているのかを冷静に特定しましょう。
物理故障の兆候
- 特定のポートのみ認識しない:いつも使っている1箇所だけがダメで、他のポートなら認識する場合。ポート内部の金具の摩耗や破損の可能性が高いです。
- 目視で破損・曲がりがある:USBポートや、接続したいUSB機器(ケーブルやUSBメモリ)の端子が明らかに曲がっていたり、折れていたりする場合。
- 全ポートが認識しない:どのポートに挿しても反応がない場合。これは重症で、マザーボード上のUSBコントローラー不良が疑われます。
⚠️ 端子の破損・曲がりは危険!
もしポートや端子に目視で破損・曲がりが確認された場合は、ショートして発火・発煙の原因となるため、すぐにパソコンの使用を中止し、そのポートには何も接続しないでください。
論理故障(ソフトウェア・設定)の兆候
- ドライバーの不具合:「USBデバイスが認識されません」のエラーが頻発する場合。ドライバー(OSが機器を動かすためのプログラム)が破損している可能性があります。
- 電力供給不足:USBハブを経由していたり、多くの機器(外付けHDD、スマホ充電など)を同時に接続しすぎている場合。
- OSやBIOSの設定ミス:Windowsのシステムファイルが破損していたり、BIOS(PCの土台となるプログラム)でUSB設定が無効化されていたりする場合。
- USB機器側の故障:そのUSB機器を、他のパソコンに接続しても認識しない場合。この場合はPC本体ではなく、USB機器(USBメモリやケーブル)の故障です。
2. 自力で試せる対処法(軽度な論理障害)
物理的な破損(端子の曲がりなど)がないことが確認できたら、以下の対処法を上から順に試してみてください。
まず試すことリスト
- 別のポートで試す:PCの他のUSBポートに挿してみる。
- 別の機器・ケーブルで試す:認識しないUSB機器ではなく、別のUSB機器(例:マウス、キーボード)を挿してポートが生きているか確認する。可能ならケーブルも交換する。
- PC本体に直接接続する:USBハブ、延長ケーブル、PC切替機などを使っている場合は、すべて取り外し、PC本体のUSBポートに直接接続する。
- パソコンを再起動する:一時的なシステムエラーは再起動で直ることがよくあります。
対処法1:ポートの清掃
USBポートはホコリがたまりやすい場所です。ホコリが原因で接触不良を起こしたり、最悪の場合はショートしたりすることもあります。電源を落とした状態で、エアダスターなどでホコリを除去してください。
対処法2:パソコンの放電
PC内部に不要な電気が帯電し、動作が不安定になっている場合があります。「放電」を行うことで改善することがあります。
- パソコンをシャットダウンします。
- 電源ケーブルやACアダプタ、接続している周辺機器(マウス、キーボード、USBメモリなど)をすべて取り外します。
- ノートパソコンの場合は、可能であればバッテリーも取り外します。
- その状態で、電源ボタンを15秒以上押し続けます。(これで内部の電気が放電されます)
- すべてを元に戻し、再度起動して確認します。
対処法3:ドライバーの更新・再インストール
USBドライバーが正常に動作していない可能性があります。ドライバーを一度削除し、OSに再インストールさせることで直る場合があります。
Windowsの検索バーで「デバイスマネージャー」と入力して開きます。
一覧からこの項目を探し、左側の矢印をクリックして展開します。
警告マーク(⚠️)が付いている項目や、該当するUSBドライバー(例:USBルートハブ、eXtensible Host Controllerなど)を右クリックし、「デバイスのアンインストール」を選択します。
PCを再起動すると、Windowsが削除されたドライバーを自動的に検出し、再インストールしてくれます。
⚠️ ドライバー削除時の注意点
マウスとキーボードの両方をUSB接続している場合、この作業(特にステップ3)の途中でマウスもキーボードも一切操作できなくなる危険があります。PS/2(丸い端子)接続のマウスやキーボードを用意できない限り、この作業は慎重に行ってください。
対処法4:BIOS設定の確認
上級者向けの確認ですが、BIOS(PCの根本的な設定画面)でUSBポートが無効化されている可能性もあります。
PCの電源を入れた直後(メーカーロゴが表示された瞬間)に特定のキー(F2、Esc、Deleteキーなど。メーカーによります)を押してBIOS画面に入り、「USB Configuration」や「USB Controller」といった項目が「Enable(有効)」になっているか確認してください。
対処法5:システムの復元・初期化
これらすべてを試しても改善しない場合の最終手段です。
- システムの復元:USB機器が正常に動いていた時点の「復元ポイント」にシステムの状態を戻します。
- Windowsの初期化(リカバリー):パソコンを購入時の状態に戻します。ただし、保存されているデータやインストールしたソフトはすべて消去されるため、実行は慎重に検討してください。
3. USBポートの修理費用(物理故障の場合)
上記の対処法を試しても改善しない、または明らかにポートが破損している場合は、物理的な修理が必要です。費用は、ポート単体の破損か、マザーボードまで故障が及んでいるかで大きく異なります。
① USBポート単体の修理
症状:特定の1箇所のみ認識しない。コネクタの金具が損傷している。
修理内容:該当のUSBコネクタ部品のみを交換する。
修理料金目安:¥3,000 〜 ¥13,000 程度
② マザーボードの修理・交換
症状:全ポートが認識しない。破損が奥の基板まで波及している。
修理内容:マザーボード上のUSBコントローラー修理、またはマザーボード全体の交換。
修理料金目安:¥12,000 〜 ¥25,000 程度(マザーボード交換の場合はさらに高額)
専門業者に依頼した場合、USBコネクタ修理はピンポイントで済む可能性がありますが、メーカー修理の場合はマザーボード全体の交換となり、高額になる傾向があります。
4. 全ポート故障時の対処法
コネクタの破損が見られないにもかかわらず、片側のポート全て、または全箇所のポートが機器を認識しない場合、マザーボードのUSBコントローラー不良や、深刻なシステム障害が疑われます。
応急処置として: もし無事なポートが1箇所でも残っているなら、そこにUSBハブを取り付けて複数の機器を接続することで、一時的にしのぐことが可能です。ただし、ハブはPCの電源部品に負荷がかかるため、常用は推奨されません。使用する場合は、ACアダプタから別途電源を取る「セルフパワー型」のUSBハブを利用するのが安全です。
専門業者への相談: 全ての対処法を試しても改善しない場合や、大切なデータが関わっている場合は、データ復旧の専門業者(例:デジタルデータリカバリーなど)やパソコン修理専門業者に相談することが最も安全です。無理な操作で状態を悪化させる前に、専門家の診断を受けることをお勧めします。
まとめ:USBポートが認識しない場合のチェックリスト
この記事では、USBポートが認識しない場合の対処法を解説しました。
- ステップ1(切り分け):まずはPC本体か、USB機器側か、ケーブルかを特定。別のポート、別の機器で試す。
- ステップ2(論理障害の対処):再起動、放電、ドライバーの再インストールを試す。USBハブを外して直接接続する。
- ステップ3(物理障害の確認):ポートに破損や曲がりがないか目視で確認。破損がある場合は使用を中止する。
- ステップ4(修理):自力で直らない場合は修理を依頼。ポート単体なら¥3,000〜、マザーボード故障なら¥12,000〜が目安。
USBポートの不具合は、多くの場合ソフトウェア(論理)的な問題ですが、物理的な破損を放置すると危険です。慌てずに一つずつ原因を潰していきましょう。








