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特に、ブレーキの性能を維持するために不可欠なオイル交換(ブリーディング)は、ブレーキホース内の劣化したオイルを排出し、新しいオイルに入れ替えてエア抜きを行う、非常に繊細な作業です。
この記事では、油圧ディスクブレーキのオイル交換にかかる工賃相場、交換頻度、サイクルベースあさひや専門店での対応の違いについて詳しく解説します。
💡 油圧ブレーキのメンテは「血液交換」
油圧ディスクブレーキのオイル交換は、体で例えるなら「血液交換」です。通常のワイヤーブレーキの調整が「筋トレ」(軽い調整)だとすれば、油圧ブレーキのブリーディングは、システム内の「血液(オイル)を入れ替え、血管(ホース)内の気泡(エア)を完全に抜く」外科的な処置です。オイルが劣化すれば制動性能という「生命力」が失われます。この専門的かつ繊細な作業が、高額な工賃の理由となります。
1. 油圧ディスクブレーキのオイル交換料金相場
油圧ディスクブレーキのオイル交換(ブリーディング)の工賃は、「片側」(前輪または後輪)で設定されることが一般的です。
専門店の相場は幅広く、片側あたり3,600円から6,600円(税込)が中心ですが、店舗の技術料やビジター価格によっては10,000円近くになることもあります。
| 店舗・サービス | 料金(片側/税込) | 備考(参照元・取得時期) |
|---|---|---|
| CLAMP(専門店) | 2,700円 | 2020年1月時点。例外的価格。 |
| ちばサイクル(専門店) | 3,600円 | オイル交換、エア抜き、調整、動作確認を含む。 |
| 梶原自転車店(専門店) | 4,400円 | シマノ、テクトロのオイル代込み。前後で8,800円。 |
| イオン北海道 | 4,620円 | ミネラルオイル使用時。オイル、エア抜き込み。 |
| Gufo Cycle Works(専門店) | 5,500円 | 2024年2月末の金額。 |
| Cycle Spot 555(専門店) | 5,500円~ | 5,000円~(税抜)。換算値。 |
| CSTOMATO(専門店) | 6,600円 | オイル料金は含まず。通常工賃。 |
| AG BIKE(専門店) | 9,900円 | ビジター(他店購入者)価格。 |
2. 前輪・後輪それぞれの料金
油圧ディスクブレーキのオイル交換(ブリーディング)は、ほとんどの店舗で前輪と後輪で工賃が分けられておらず、「片側」または「1個あたり」として一律料金が適用されます。
- 料金一律の例: 梶原自転車店では片側4,400円(税込)であり、前後両輪の場合は合計8,800円(税込)となります。
- 作業内容の違い: ただし、オイル交換だけでなく、ブレーキホース自体の交換を伴う作業(特にフレーム内装の場合)は、ワイヤー交換と同様に作業が複雑化するため、工賃が大幅に上がることがあります。
3. オイル交換の頻度(目安)
油圧ディスクブレーキのオイルは密閉されていますが、時間の経過とともに湿気を吸うなどして劣化します。劣化したオイルを使い続けると、性能を発揮できないだけでなく、最悪の場合ブレーキが効かなくなるため、定期的な交換が必須です。
オイル交換の目安
- 推奨頻度:年に1回安全で快適なサイクルライフのために、1年~1年半に1回の実施が推奨されています(あさひのオーバーホール推奨頻度)。
- 劣化のサイン(色):新品のシマノ製ミネラルオイルは通常ピンク色をしていますが、古くなると劣化して色が薄くなり透明に変色します。また、金属粉などが混ざって黒く濁る場合もあります。
- 劣化のサイン(操作感):ブレーキレバーの引き量が急に増えたり(フカフカする)、ブレーキタッチ(握り心地)が変わったりした場合も交換が必要なサインです。
4. サイクルベースあさひの対応状況と料金
サイクルベースあさひは、ロードバイクなどのスポーツバイク向けメンテナンスメニューを提供しており、油圧ディスクブレーキのブリーディングにも対応しています。
A. 点検・調整料金
イオン北海道(あさひグループ)の工賃表によると、油圧ディスクブレーキの「調整」工賃は片側1,320円(税込)です。これは主にパッドの位置調整(センタリング調整)であり、オイル交換(エア抜き)は別料金です。
B. オイル交換(ブリーディング)料金
あさひの本格的なメンテナンスサービスであるオーバーホール(THE BASEのサービス)には、ブリーディング料金が含まれています。
- オーバーホールに込み:スタンダードオーバーホール(15,000円税込)およびプレミアムオーバーホール(30,000円税込)の場合、油圧ディスクブレーキであればブリーディング込みの料金設定です。
- ホース交換は別料金:オーバーホール料金とは別に、ホース交換が必要な場合はプラス¥5,000(税込)が加算されます。
- イオン北海道の単独料金:油圧DISCオイル交換(ミネラルオイル)は片側4,620円(税込、オイル・エア抜き込)です。
⚠️ DOTオイルは非対応の可能性あり
シマノなどが採用する「ミネラルオイル」と異なり、SRAMやカンパニョーロなどが採用する「DOTオイル」は取り扱いが難しく、塗装を痛める性質があります。以前、DOTオイルを使用しているため、あさひで作業を断られた事例が報告されています。DOTオイル使用車は、対応可能な専門店への依頼が確実です。
5. 専門店との料金比較
専門店での工賃は、店舗の技術レベルや、他店購入車(ビジター)かどうかで価格差が大きくなります。
あさひ(イオン北海道)
工賃(片側): ¥4,620 (税込)
特徴: 全国チェーンでの標準化された料金。オーバーホールに組み込むとお得。
専門店(標準)
工賃(片側): ¥3,600〜¥6,600 (税込)
特徴: 店舗による価格差が大きい。オイル代が含まれるか確認が必要。(例:ちばサイクル ¥3,600)
専門店(ビジター価格)
工賃(片側): ¥9,900 (税込)
特徴: 他店購入車(ビジター)には、通常より高額な工賃が設定されている場合がある。(例:AG BIKE)
- オイルの種類:梶原自転車店(¥4,400)では、シマノやテクトロのオイル代は工賃に含まれますが、SRAMなどDOTフルードを使用する場合は別途オイル代がかかることがあります。
- 工賃の安さ:CLAMPの片側工賃2,700円(税込, 2020年1月)のように、定期交換を促すために安価に設定している店もありますが、これは例外的です。
6. よくある質問(FAQ)
Q1. 油圧ディスクブレーキのオイル交換はなぜ「エア抜き」が必要なのですか?
A1. オイル交換時や、ブレーキホース内のオイルに気泡が混入した場合、エア抜き(ブリーディング)が必須です。ブレーキシステム内に空気が入ると、空気はオイルと異なり圧縮されてしまうため、ブレーキレバーを引いても油圧がパッドに正確に伝わらず、制動力が低下し、最悪の場合ブレーキが効かなくなる(ベーパーロック現象)からです。
Q2. 油圧ディスクブレーキのオイル交換を怠るとどうなりますか?
A2. オイル交換を長期間行わないと、オイルが湿気を吸い込み劣化し、ブレーキ性能が低下します。劣化が進むとブレーキが効かなくなったり、ブレーキレバーの引き量が急に増えたり(フカフカになる)、ブレーキタッチが悪化したりする原因になります。
Q3. オイル交換の際に「DOT」と「ミネラルオイル」で料金に差はありますか?
A3. はい、差が出る場合があります。イオン北海道の例では、DOT 4オイル交換(片側4,840円税込)は、ミネラルオイル交換(片側4,620円税込)よりも220円高く設定されています。また、DOTオイルは取り扱いが難しく(塗装を痛めるため)、一部の店舗(あさひなど)では作業を断られる事例も報告されています。
Q4. ディスクブレーキのオイル交換で「11,000円」と言われたのは妥当な料金ですか?
A4. 片側(1輪分)であれば高額ですが、前後両輪(2輪分)であれば妥当な範囲です。
AG BIKEでは片側のビジター価格が9,900円(税込)のため、11,000円に達する可能性もありますが、多くの専門店では片側¥5,500程度(Gufo等)です。前後両輪で11,000円(片側¥5,500×2)であれば、専門店の標準的な工賃と言えます。ホース交換やキャリパーのオーバーホールを同時に行う場合は、さらに高額になります。
Q5. 油圧ディスクブレーキの工賃が、専門店と大型チェーン店(あさひ)で特に差が出るのはなぜですか?
A5. 油圧ディスクブレーキは専門知識と特殊工具が必須であり、専門店は最高のコンディションを追求するため、その技術料(工賃)が高くなる傾向があります。一方、あさひはオーバーホールプランにブリーディングを組み込むなど、標準化されたセット料金を提供しています。ただし、専門店は「ビジター(他店購入者)」に対して高い工賃(例:9,900円)を設定することがあるため、料金差が顕著になります。
📚 参考情報
本記事の料金やサービス内容は、各社公式サイトや情報源(2020年〜2024年時点の情報を含む)を参考に作成しています。最新の正確な料金は、必ず最寄りの店舗にご確認ください。
まとめ:油圧ブレーキは年1回の「血液交換」が必須
この記事では、自転車の油圧ディスクブレーキのオイル交換(ブリーディング)にかかる費用について解説しました。
- 料金相場:「片側」あたり ¥3,600〜¥6,600(税込)が一般的。前後両輪ではその倍額。
- 高額な理由:エア抜き(ブリーディング)という専門技術と特殊工具が必要なため。
- 交換頻度:性能維持と安全のため、年に1回が推奨されます。
- あさひの対応:オーバーホール(¥15,000〜)には含まれます。単体料金はイオン北海道(¥4,620)が参考になります。DOTオイルは非対応の可能性があります。
- 注意点:専門店では「ビジター価格」(例:¥9,900)が設定されている場合があり、料金差が大きくなります。
油圧ディスクブレーキは、ワイヤーブレーキと異なり、定期的な「オイル交換」というランニングコストが発生します。安全な制動力を維持するために、信頼できる専門店での定期的なメンテナンスをおすすめします。








