パソコンのCPUグリス塗り替え|熱暴走を防ぐDIY手順と選び方
- 公開日:2025/9/24
- 最終更新日:
- パソコン修理

🔧 CPUグリス塗り替えDIYガイド
PC冷却性能を最大化し、熱暴走を防ぐ技術的な作業です。
正しい手順で実行すれば、CPU温度を5-15℃改善できます。
🌡️ CPUグリスの役割と熱暴走のリスク
CPU温度の危険度レベル
🔬 CPUグリスの科学的役割
CPUとヒートシンクの間には、製造公差により数ミクロンの微細な隙間が存在します。空気の熱伝導率は0.024W/m・Kと極めて低いため、この隙間を熱伝導率1-20W/m・Kのグリスで埋めることで、熱抵抗を劇的に改善します。
グリス劣化のメカニズム:
• 熱サイクルによる分子構造の変化
• 溶剤の蒸発による粘度上昇
• 酸化による熱伝導率の低下
• ポンプアウト現象(圧力による流出)
🧪 CPUグリスの種類と性能比較
グリス種類 | 熱伝導率 (W/m・K) | 価格帯 | 耐久性 | 塗りやすさ | 推奨用途 |
---|---|---|---|---|---|
シリコン系 (MX-4、AS-5) | 4-9 | 500-1,500円 | 5-7年 | ◎ | 一般用途・初心者 |
シルバー系 (AK-450A-SS) | 8-12 | 800-2,000円 | 3-5年 | ○ | 高性能PC・ゲーミング |
カーボン系 (GS-11) | 11-15 | 1,500-3,000円 | 4-6年 | ○ | オーバークロック・高発熱CPU |
ダイヤモンド系 (JP-DX1) | 15-20 | 3,000-5,000円 | 7-10年 | △ | 極限性能・業務用 |
液体金属系 (Conductonaut) | 73 | 1,500-2,500円 | 10年+ | × | 上級者・極限冷却 |
液体金属グリスの注意事項
• アルミニウム製クーラーには使用不可(腐食リスク)
• 周辺回路への付着でショートの危険性
• 取り扱いには専門知識が必須
• 初心者にはシリコン系またはシルバー系を推奨
🛠️ 必要な工具と準備物
基本工具
清掃用品
安全対策
📋 事前準備と安全対策
現在の温度測定
作業前の基準値として、アイドル時と負荷時のCPU温度を記録します。
完全シャットダウン
PCを完全にシャットダウンし、電源ケーブルを抜いて最低15分間放置してコンデンサを放電させます。
作業環境の整備
静電気のない環境で、十分な照明と作業スペースを確保します。湿度40-60%が理想的です。
PCケースの開封
サイドパネルを取り外し、内部のホコリを圧縮空気で除去します。特にCPUクーラー周辺を重点的に清掃。
🔧 CPUクーラー取り外し手順
ファンケーブルの取り外し
CPUファンの電源ケーブルをマザーボードのCPU_FANヘッダーから慎重に抜きます。
クーラー固定機構の解除
Intel:プッシュピンを反時計回りに回して引き上げ
AMD:レバーを上げてクリップを外す
クーラーの取り外し
グリスの粘着でCPUが一緒に外れる危険があります。少しずつ左右に動かしながら慎重に取り外します。
クーラー取り外し時の重要注意点
• CPUが一緒に外れてピンが曲がる事故を防ぐ
• グリスが硬化している場合は、PC起動で温めた直後に作業
• 無理に引っ張らず、捻りながら少しずつ取り外す
• AMD CPUの場合、特にCPU固定レバーの確認が重要
🧽 古いグリスの除去方法
CPUヒートスプレッダーの清掃
無水エタノールをマイクロファイバークロスに含ませ、一方向に拭き取ります。円を描くような動きは避けます。
ヒートシンクベースの清掃
クーラー側も同様に清掃。特に溝がある場合は綿棒で丁寧に除去します。
完全乾燥の確認
アルコールが完全に揮発するまで5-10分間待機。水分が残っているとグリスの性能が低下します。
🎨 グリス塗布方法の比較検証
🍚 米粒法(Point Method)
推奨量:米粒~小豆大
適用CPU:一般的なサイズ
❌ X字法(Cross Method)
推奨量:線の太さ1-2mm
適用CPU:大型・楕円型
🏗️ ヘラ塗り法(Spread Method)
推奨厚:0.1-0.2mm
適用CPU:すべてのタイプ
📊 性能検証結果(Core i7-12700K + NH-D15での実測)
米粒法:アイドル32℃ / 負荷78℃
X字法:アイドル31℃ / 負荷76℃
ヘラ塗り:アイドル30℃ / 負荷74℃
適切に実行されれば、方法による差は2-4℃程度。手法より「適量」と「均一性」が重要です。
🎯 推奨グリス塗布手順
グリス量の決定
標準CPU(~40mm角):米粒大
大型CPU(40mm角~):小豆大
サーバーCPU:大豆大
塗布位置の確定
CPUヒートスプレッダーの幾何中心に配置。偏心すると不均一な広がりの原因となります。
クーラー装着準備
クーラーを一気に装着し、固定機構を対角線順序で締め付けます。途中で持ち上げると気泡が入ります。
圧着とエージング
装着後、軽く圧力をかけて5分間放置。その後、数回の熱サイクルでグリスが馴染みます。
📊 温度測定とパフォーマンス確認
Core Temp
特徴:コア別温度表示
用途:リアルタイム監視
推奨度:⭐⭐⭐⭐⭐
HWMonitor
特徴:総合ハードウェア監視
用途:詳細データ収集
推奨度:⭐⭐⭐⭐⭐
Prime95
特徴:CPUストレステスト
用途:最大負荷温度測定
推奨度:⭐⭐⭐⭐☆
OCCT
特徴:安定性テスト
用途:長時間負荷確認
推奨度:⭐⭐⭐⭐☆
🧪 性能テストプロトコル
1. ベースライン測定:30分アイドル後の温度
2. 負荷テスト:Prime95 Small FFTs 15分間
3. 安定性確認:通常使用でのピーク温度
4. 経時変化:1週間後の再測定
成功基準:
• アイドル温度:室温+5-15℃
• 負荷温度:TJMax(通常100℃)-15℃以下
• 温度改善:5-15℃の低下
🚨 トラブルシューティング
❌ 問題:温度が改善されない
原因:グリス量不足、エアバブル、クーラー接触不良
対策:再塗布、固定圧力の確認、サーマルパッド劣化チェック
❌ 問題:温度が以前より高くなった
原因:グリス過多、不均一塗布、異物混入
対策:完全除去して再作業、清掃不足の確認
❌ 問題:起動しない
原因:CPU固定不良、電源ケーブル未接続、静電気損傷
対策:全接続の再確認、最小構成での起動テスト
❌ 問題:グリスがはみ出した
原因:過剰塗布、圧力過多
対策:はみ出し部分の除去(導電性グリスは特に注意)
⚡ パフォーマンス最適化と関連メンテナンス
ファンカーブの調整
BIOS/UEFIまたはファンコントロールソフトで、温度に応じたファン回転数を最適化します。
ケース内エアフローの改善
吸気と排気のバランスを調整し、CPUクーラーへの新鮮な空気供給を確保します。
定期メンテナンスの計画
グリス交換周期(2-3年)、ダストフィルター清掃(月1回)、ファン交換(3-5年)のスケジュール設定。
💡 プロのメンテナンス戦略
• 予防保全:温度上昇の傾向を監視し、劣化前に交換
• 季節調整:夏場前のメンテナンスで熱対策強化
• 使用状況別:ゲーミング・クリエイター用途は短サイクル
• 記録管理:作業履歴と温度データの保存
🔗 関連するPC改善施策
CPUグリス交換と合わせて実施すると効果的な施策:
• Cドライブ容量最適化:システム全体のパフォーマンス向上
• メモリクリーニング:RAMの最適化で発熱抑制
• 電源ユニット点検:効率的な電力供給で発熱削減
• BIOS/UEFI更新:最新の熱管理機能活用
修理・メンテナンス相場シミュレーター
製品の修理やメンテナンスの相場をシミュレーションできます。適切なカテゴリー分類と現実的な料金設定で、より正確な目安を提供します。
⚠️ 重要な注意事項
本ツールは参考目安です。実際の料金は機器の状態、年式、メーカー、地域により大幅に変動します。必ず複数業者で実際の見積もりを取得してください。
📊 シミュレーション結果
項目 | 金額 | 備考 |
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基本料金 | 0円 | 診断・基本作業費含む |

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