【ゲーミングPC故障】高性能パーツ・冷却系に強い修理業者はどこ?
「ゲーム中に突然PCが落ちた」「ファンから異音がする」「高性能なグラボが認識されない」
高性能なパーツで構成されたゲーミングPCは、一般的なPCとは異なる専門知識が要求されるため、どこに修理を依頼すべきか悩ましい問題です。
この記事では、ゲーミングPC特有のトラブル(高性能パーツ、冷却系、オーバークロック設定)に対応できるおすすめの業者、修理のポイント、そして最も重要な「データ保護」の注意点について詳しく解説します。
この記事でわかること:
- 高性能パーツ(GPU)やBTO構成に対応できる業者の特徴
- グラフィックボードや冷却系(ファン、グリス)の修理・メンテナンス方法
- オーバークロック設定が修理によってどうなるか
- メーカー修理と専門業者の「データ保護」に関する決定的な違い
⚠️ メーカー修理の注意点
メーカーや大手家電量販店に修理を依頼すると、データが初期化(消去)されることが前提となるケースがほとんどです。大切なゲームデータや設定ファイルを守りたい場合は、業者選びが非常に重要になります。
1. ゲーミングPC修理はどこがおすすめ?業者の選び方
ゲーミングPCや自作PCの修理は、BTO(Build to Order)特有の構成や高性能パーツの扱いに慣れた「パソコン専門店」または「データ保護に強い専門業者」への依頼が推奨されます。
① パソコン専門店系(ドスパラ、パソコン工房)
特徴: BTOパソコンの販売・製造元であり、パーツ知識が豊富。
強み: 高性能パーツの在庫、自作PCやBTO構成への深い理解、修理実績(ドスパラは累計20万台以上)。
注意点: データ保護は重視しているものの、修理内容によっては初期化を提案される場合もある。
② 修理専門業者(PCホスピタル、パソコン110番)
特徴: メーカー問わず修理に対応し、全国展開している。
強み: 「データ保護」を最優先にする点。メーカーが対応しない修理も可能。プライバシーマーク取得などセキュリティ体制が整っている(PCホスピタルの場合)。
注意点: 特殊なハイエンドパーツの在庫は専門店に劣る可能性がある。
A. パソコン専門店系修理サービス
ドスパラやパソコン工房(ユニットコム/Goodwill)は、自社でBTOパソコンを製造・販売しているため、ゲーミングPCの複雑な内部構成や高性能パーツの扱いに精通しています。
- 対応力:ドスパラは自作PCや他社製PCの修理にも対応しており、幅広いWindows PCの修理実績があります。
- データ保護:ドスパラは「データ保全を重視」しており、データ移行やバックアップのメニューも用意されています。
B. 全国展開のパソコン修理専門業者
PCホスピタルやパソコン修理EXPRESS(パソコン110番)は、メーカー修理で断られたケースや、データを最優先したい場合に強みを発揮します。
- 対応範囲:PCホスピタルは、DELLのゲーミングノートPC(G5 15)のバッテリー交換事例など、ゲーミングPC固有のトラブルにも対応しています。
- 強み: 最大の強みは、メーカー修理では必須とされるOSリカバリ(初期化)を行わず、データを保護したまま修理を試みる点です。
2. グラフィックボード(GPU)と冷却系の修理・メンテナンス
ゲーミングPCの故障原因の多くは、高性能パーツが発する「熱」にあります。特にグラフィックボードと冷却系はトラブルの温床です。
💡 ゲーミングPCの熱は「F1カーのエンジン熱」
ゲーミングPC、特にハイエンドなグラフィックボード(GPU)は、F1カーのエンジンのようなものです。最高のパフォーマンスを発揮するために膨大な処理を行いますが、同時に凄まじい熱を発生させます。
F1カーが巨大なラジエーターで必死にエンジンを冷やすように、ゲーミングPCも高性能なファンや冷却システム(エアフロー)で熱を排出しなければなりません。この冷却が追いつかないと「熱暴走」を起こし、パフォーマンスが低下するだけでなく、パーツ自体が故障してしまいます。
グラフィックボード(GPU)の修理・交換
「画面が映らない」「ゲームがカクつく」といった症状は、GPUの不調が考えられます。
- 修理対応: 多くの専門業者がグラフィックボードの交換サービスを提供しています。
- 増設・換装: パソコンメイトなどでは、ゲームのパフォーマンス向上を目的としたグラフィックボードの増設や換装サポートも行っています。
- 熱と故障: RTX 30シリーズのような高性能GPUは、高負荷時にメモリ温度が94度を超えることもあります。このような高熱状態が続くと、GPU本体やマザーボードの寿命を縮める原因となります。
冷却系(ファン/グリス)の修理と熱暴走対策
冷却系の問題は、故障(交換)だけでなく、メンテナンスで劇的に改善することがあります。
(ファンやヒートシンクが目詰まりする)
(熱がPCケース内部にこもる)
(パーツの熱がヒートシンクに伝わりにくくなる)
(温度を下げるため性能が制限される。最悪の場合、PCが強制終了する)
(高熱によるダメージが蓄積し、GPUやマザーボードが物理的に故障する)
この流れを断ち切るために、以下のメンテナンスが有効です。
- ホコリ除去/内部清掃:
ファン周りや吸気口のホコリを徹底的に除去し、エアフローを改善します。PC Fixsなどでは、ファンからの異音や不具合に関する修理にも対応しています。
- CPU/GPUグリスの塗り直し:
パフォーマンス低下や熱暴走の多くは、CPUやGPUと冷却ファンの間にある「グリス」の劣化・固化が原因です。グリスを塗り直すことで、熱伝導率が回復し、冷却性能が劇的に改善します。
- 目安: 一般的にVGA(GPU)グリスは3~5年に1回の塗り直しが推奨されます。
- 料金例: ルキテックでは「CPUファン分解清掃グリスアップ」サービスを9,500円(税別)~(診断料、工賃含む)で提供しています。
- ファン交換:
「FANエラー」が表示される、または明らかな異音がする場合はファン自体の故障が考えられます。この場合、ファン部品の交換が必要です。
- 料金例: CPUファン交換修理の合計金額は13,500円(税別)~(診断料、交換費、部品代)が目安です。
3. オーバークロック(OC)設定の復旧と注意点
オーバークロック(OC)は、自己責任で行う高度なカスタマイズです。修理の際にこの設定がどうなるかは、修理内容によって異なります。
- ソフトウェア(ドライバ)の問題:
FPSが安定しない、カクつくといった問題が、OC設定ではなく単にグラフィックドライバが古い、または適切でないことが原因の場合もあります。最新のドライバをインストールすることで改善する可能性があります。
- ハードウェア交換時のリセット:
マザーボードやCPUの故障により部品交換となった場合、BIOS設定はすべて初期状態に戻ります。したがって、保存していたオーバークロック設定も失われます。修理完了後、自分で再設定する必要があります。
⚠️ 分解とメーカー保証の重大なリスク
ゲーミングPCユーザーが自身で冷却性能を上げるためにグリスの塗り替えやサーマルパッドの交換を行う場合、GPUクーラーの取り外しが伴います。基本的には、GPUクーラーを一度でも取り外すとメーカー保証は一切なくなります。
このリスクを理解した上で自己責任で行う必要があります。
【例外あり】
ただし、EVGAやZOTACなど一部のメーカーでは、分解しても保証を受けられる場合があります(固定ネジに封印シールがない製品に限る、かつ分解が原因の物理破損ではない自然故障の場合)。また、本格水冷化したビデオカードでも、購入時のGPUクーラーに戻せば保証を受けられる可能性がありますが、これはメーカーのポリシーによります。
4. 最重要:修理時のデータ保護に関する注意点
ゲーミングPCの修理において、技術的な問題と同じくらい重要なのが「データ保護」です。セーブデータ、MOD、各種設定ファイルなど、失いたくないデータが多数あるはずです。
メーカー・大手量販店の修理
データ:原則「初期化(消去)」
理由: OSの再インストールやストレージ(HDD/SSD)交換が伴うため。また、個人情報保護の観点からデータ消去を必須としているため。
専門修理業者の修理
データ:原則「保護」
理由: 故障箇所のみを特定し、データを保持したまま修理することを強みとしているため。(ストレージ自体が物理的に故障している場合を除く)
もしデータが最も重要である場合は、メーカーではなく、PCホスピタルのようなデータ保護を優先する修理業者、あるいはデータ復旧の専門業者に相談することが確実です。
データを見られるリスクと対策
修理担当者がデータを見る可能性はゼロではありません。ストレージの不具合確認やOSの動作確認のために、ファイルを開く可能性があるためです。
💡 修理とデータは「金庫室の修理」
PC修理を依頼するのは、貴重品(データ)が入った金庫室(PC)の扉(故障箇所)の修理を業者に頼むようなものです。
信頼できる業者(専門業者)は、金庫室の中身(データ)には触れず、扉だけを修理しようとします。しかし、メーカー修理は「安全のため、一度中身をすべて空にしてから修理します」という対応に近いのです。
また、どちらの業者であれ、修理のために金庫室に入る以上、中身を見られる可能性はゼロではありません。そのため、本当に見られたくない貴重品(個人情報)は、あらかじめ別の場所(バックアップ)に移しておく必要があります。
プライバシー保護のため、修理前に以下の対策を強く推奨します。
修理に出す前のデータ保護対策
- 最優先:重要データのバックアップ(外付けHDD/SSD、クラウドストレージなど)
- ブラウザのログイン情報、閲覧履歴、Cookieの削除
- クレジットカード情報などが保存されたファイルの削除
- デスクトップやダウンロードフォルダ内の不要なファイルの整理・削除
見られるリスクを最小限に抑える「出張修理」
データを見られるリスクを最小限に抑えたい場合、PCホスピタルなどが提供する「出張修理」が推奨されます。オフィスや自宅で、自分の目の前で修理作業を行うため、PCやデータを外部に持ち出す必要がなく、プライバシー面での安心感が最も高い方法です。
まとめ:ゲーミングPCの修理は「専門知識」と「データ保護」で選ぶ
この記事では、高性能なゲーミングPCの修理について解説しました。
- 業者選び:
BTOやパーツ知識が豊富な「パソコン専門店(ドスパラ、パソコン工房)」か、データ保護を最優先する「専門修理業者(PCホスピタル)」がおすすめです。
- 冷却系の重要性:
パフォーマンス低下や故障の多くは「熱」が原因です。ホコリ清掃や、3~5年ごとの「グリス塗り直し」メンテナンスが非常に有効です。
- OC設定と保証:
マザーボード交換などでOC設定はリセットされます。また、自己分解(グリス塗り直し等)はメーカー保証が失効するリスクがあります(EVGA、ZOTACなど一部例外あり)。
- データ保護(最重要):
メーカー修理はデータ初期化が前提です。セーブデータ等を守りたい場合は、データを保護して修理する専門業者を選び、必ず事前にバックアップを取りましょう。
ゲーミングPCは高価でデリケートな機器です。信頼できる専門家に相談し、大切なデータを守りながら最適な修理方法を選択してください。








