「MacBookの画面が割れた…」
「バッテリーの持ちが明らかに悪い…」
大切なMacBookが故障した時、「どこに修理に出すべきか?」は非常に悩ましい問題です。Apple Storeに持ち込むべきか、近くの修理店でもいいのか…。
選択肢は主に「Apple正規店」「Apple正規サービスプロバイダー(AASP)」「非正規修理店」の3つありますが、それぞれに決定的な違いがあり、知らずに選ぶと「高額な修理費になった」「データが全部消えた」「保証が切れた」といった事態を招きかねません。
💡 MacBookの修理は「病院選び」に似ている
どの修理先を選ぶかは、病院選びによく似ています。
- Apple正規店:
最高水準の設備と専門医が揃う「大学病院」。絶対的な安心感があるが、数が少なく(予約必須)、費用が高額になることも。 - AASP(正規サービスプロバイダー):
大学病院と提携する「地域の中核病院」。ビックカメラなど。正規の治療(修理)が受けられるが、窓口はあくまで提携先。 - 非正規修理店:
「街の名医(クリニック)」。早くて安価、融通が利く(データ保護など)が、病院(Apple)の公認ではないため自己責任も伴う。
この記事では、これら3つの選択肢の違いを、料金、保証、データ保護、スピードの観点から徹底的に比較し、あなたが何を優先すべきか、最適なおすすめの選択基準を解説します。
1. MacBook修理依頼先の徹底比較
まず、3つの修理依頼先「Apple Store(正規店)」「Apple正規サービスプロバイダー(AASP)」「非正規修理店」の主な違いを一覧表で比較します。
| 項目 | Apple Store(正規店) | Apple正規サービスプロバイダー (AASP) | 非正規修理店(第三者修理店) |
|---|---|---|---|
| 主な特徴 | Apple直営の修理サービス (Genius Bar) | Appleが認定した外部委託業者(ビックカメラ、カメラのキタムラ等) | メーカーや正規店ではない民間の修理企業 |
| 使用部品 | 純正パーツのみ | 純正パーツのみ | 互換パーツや中古品を使用(品質は店による) |
| 費用 | Apple Care+加入で激安。保証対象外は高額。 | Apple Storeと同額。保証対象外は高額。 | 正規店より安価な傾向(特に保証対象外の場合) |
| メーカー保証 | 継続 | 継続 | 無効になる(改造扱い) |
| 修理期間 | 最短即日(在庫あれば)。配送は5~7営業日。予約必須。 | 部品の都合がつけば即日対応も可能。 | 最短即日(30分~)と非常に早い場合が多い。 |
| データ保護 | 原則、初期化が必須。(データ保証なし) | 原則、初期化が必須。(データ保証なし) | データを保護したまま修理可能な場合が多い。 |
2. Apple正規店とAASPの違い(実質的に同じ)
「Apple Store」と「Apple正規サービスプロバイダー(AASP)」は、どちらもAppleの正規修理サービスです。
- Apple Store(正規店):
Appleの直営店です。Genius Barでの対面サポートが受けられますが、日本国内に10店舗程度(2023年1月時点)と店舗数が限られており、予約がほぼ必須です。 - Apple正規サービスプロバイダー (AASP):
Appleから正式に認定を受けた修理代行業者です。ビックカメラ、カメラのキタムラ、クイックガレージの一部店舗などが該当します。Apple Storeがない地域でも、AASPを通じて同等の正規修理サービスを受けられます。
結論として、この2つは「使用部品」「修理費用」「保証の扱い」「データ初期化」といったサービス内容は全く同じです。違いは「店舗の数」と「運営元」だけだと考えて問題ありません。
3. 料金比較と保証の扱い
修理費用は、あなたが「Apple Care+」に加入しているかどうかで、選択肢がほぼ決まります。
💡 Apple Care+ は「最強の健康保険証」
Apple Care+は、病院における「健康保険証」のようなものです。これを持っていると、通常なら4万円以上かかる画面交換(高額な手術)が3,700円で済んだり、バッテリー交換(診察)が無料になったりします。保険証(Apple Care+)が使えるなら、大学病院(正規店)に行かない理由はありません。
⚠️ Apple Care+ に加入しているか?
- 加入している場合:
迷わず「Apple Store」か「AASP」を選んでください。非正規修理店を利用するメリットは一切ありません。例えばiPhone 15の画面交換は通常 ¥42,800ですが、Apple Care+適用なら ¥3,700です。 - 加入していない(保証対象外の)場合:
正規修理は非常に高額になります。この場合、「非正規修理店」が有力な選択肢となります。非正規店なら、正規店の半額以下で修理できることも多いです。
⚠️ 非正規店を利用すると「メーカー保証」が無効になります!
非正規修理店で一度でも修理(分解)を行うと、Appleはそれを「改造」とみなし、以降、Apple StoreやAASPでの修理(Apple Care+含む)を一切受け付けてくれなくなります。
安さを取る代わりに、Appleの公式サポートを失うという大きなリスクがあることを理解してください。
4. データ保護の決定的な違い
MacBook修理において、正規店と非正規店の最大の違いは「データの扱い」です。
Apple正規店 / AASP
データ:原則「初期化」されます
Appleの正規修理は、データを保護してくれません。修理に出す前に、ユーザー自身でTime Machineなどで完全にバックアップを取ることが必須とされています。バックアップを取らずに修理に出すと、工場出荷状態(データが空っぽ)になって戻ってくる可能性があります。
非正規修理店
データ:原則「保護」されます
多くの非正規修理店は、データを初期化せず、そのまま残した状態で修理を行うことを強みとしています。「バックアップが取れない(起動しない)」「バックアップが面倒」という人にとっては、最大のメリットとなります。
5. おすすめの選択基準(何を優先するか)
最終的にどこに修理に出すべきか、あなたの優先順位に合わせたおすすめの選択基準をまとめます。
【優先順位別】おすすめの修理先
- 「品質と安心感」を最優先する場合
→ Apple Store / AASP
純正パーツが使用され、修理後もメーカー保証が継続します。Apple Care+に加入しているなら一択です。 - 「費用(安さ)」を最優先する場合
→ 非正規修理店
Apple Care+未加入で保証対象外の場合、正規店の半額以下で修理できる可能性があります。ただし、メーカー保証が切れるリスクを許容する必要があります。 - 「スピード(即日修理)」を最優先する場合
→ 非正規修理店
正規店は予約が必須で時間もかかりますが、非正規店は予約なしでも最短30分~1時間程度で修理が完了する場合があります。 - 「データ保護(初期化回避)」を最優先する場合
→ 非正規修理店
正規店ではデータは初期化されます。「バックアップが取れない」「データを消したくない」場合は、非正規店を選ぶしかありません。 - 「古い機種(ビンテージ製品)」を修理したい場合
→ 非正規修理店
Appleは、出荷から5年経過した「ビンテージ製品」や7年経過した「オブソリート製品」の正規修理を受け付けません。これらの古い機種を修理できるのは非正規店だけです。
💡 ケーススタディ:バッテリー交換の場合
MacBook Proのバッテリー交換を例に考えてみましょう(※iPhone 15の料金を参考に概算)。
- 正規店 (Apple Care+あり):
¥0(無料)。迷わず正規店へ。
- 正規店 (保証なし):
約 ¥15,800(税込) + 修理期間(配送で5~7営業日) + データ初期化のリスク。
- 非正規店 (保証なし):
¥15,800より安価な傾向 + 修理期間(最短30分~1時間) + データが消えない。
このように、保証がない場合は、「純正パーツの安心感」と「データ初期化のリスク」を天秤にかけ、非正規店の「安さ・速さ・データ保護」のメリットと比較することになります。
まとめ:MacBook修理は「保証」「データ」「費用」で決めよう
MacBookの修理依頼先を選ぶ基準は、非常に明確です。
- 【最優先】Apple Care+ に加入しているか?
- はい → 迷わず「Apple Store」か「AASP」へ。
- いいえ → 2に進む。
- 【データ】バックアップが取れていない、またはデータを消したくないか?
- はい → 「非正規修理店」が最有力。
- いいえ(バックアップ済み、またはデータは不要) → 3に進む。
- 【費用 vs 品質】メーカー保証が切れても、安さを優先するか?
- はい(安さ・速さ優先) → 「非正規修理店」へ。
- いいえ(純正の品質・安心感が優先) → 「Apple Store / AASP」へ(高額な見積もりを覚悟)。
MacBookは内部構造が特殊なため、非正規店を選ぶ場合でも、Mac修理の実績が豊富で、修理後の独自保証(3ヶ月~6ヶ月程度)をしっかり提供している信頼できる店舗を選ぶことが非常に重要です。








