【BIOS起動しない】画面真っ暗!原因とCMOSクリア、修理費用を解説
「パソコンの電源は入るのに、メーカーロゴすら表示されず画面が真っ暗…」
「F2キーやDeleteキーを押しても、BIOS設定画面に入れない」
BIOS(バイオス)は、OS(Windowsなど)が起動する前にハードウェアを管理・制御する、パソコンの最も基本的なプログラムです。このBIOSが起動しない場合、パソコンはOSを読み込むことができず、深刻な起動トラブルとなります。
この記事では、BIOSが起動しない場合の具体的な症状と原因、自力で試せる修理方法(CMOSクリア、バッテリー交換)、そしてマザーボード故障の判断基準と修理費用について詳しく解説します。
💡 BIOSは「オーケストラの指揮者」
パソコンのハードウェア(CPU、メモリ、ストレージなど)を「楽器」と例えるなら、BIOSは「オーケストラの指揮者」のようなものです。
電源が入ると、まず指揮者(BIOS)が「メモリ、OK!」「CPU、OK!」と各楽器の状態を確認し、演奏開始(OS起動)の合図を出します。しかし、この指揮者(BIOS)が何らかの理由で動かなければ、オーケストラ(パソコン)は音を出す(起動する)ことすらできないのです。
I. BIOSが起動しない場合の症状と主な原因
1. BIOS画面が出ない具体的な症状
BIOSが起動していない場合、OSの起動以前の段階で停止しているため、以下のような症状が現れます。
BIOS起動不良のサイン
- 電源ランプは点灯し、冷却ファンは回っているが、画面は真っ暗なまま。
- メーカーのロゴ画面すら表示されない。
- BIOS起動キー(F2, Esc, Deleteキーなど)を押しても反応がなく、設定画面に入れない。
- ストレージのアクセスランプが一瞬点灯して、すぐに消えてしまう。
- (普段鳴る機種の場合)起動時のビープ音(警告音)が鳴らない。
2. 主な原因
原因は、マザーボード上の設定や部品の不具合に起因することが多いです。
- CMOS電池の消耗・劣化
BIOSの設定(日時や起動順序など)は、「CMOS電池」というボタン電池で保持されています。この電池の寿命は約3〜4年で、消耗するとBIOSが起動しなくなったり、設定がリセットされたりします。
- マザーボードや電源ユニットの故障
パソコンの土台であるマザーボードや、電力を供給する電源ユニットが経年劣化や故障すると、BIOSを起動するための電力が正しく供給されず、起動不良が起こります。
- メモリの接触不良または故障
メモリの差し込みが甘かったり、ホコリで接触不良を起こしたりすると、BIOSが起動しなくなる原因となります。内部作業後にビープ音が鳴って起動しない場合、これが原因のこともあります。
- BIOS設定の破損や誤り
BIOSアップデートの失敗、設定の誤変更、または落雷や停電による突然の電源断が原因で、BIOSファイル自体が破損する場合があります。
- 静電気やホコリ
パソコン内部に静電気が溜まったり、ホコリが原因でパーツの接触が悪くなったりして、BIOSが起動しなくなることもあります。
II. 自力で試せる修理方法
深刻なハードウェア故障でなければ、以下の対処法で解決できる可能性があります。作業前には必ず電源ケーブルを抜き、身体の静電気を除去してください。
1. 分解を伴わない初期対処
(USBメモリ、外付けHDD、プリンターなど、接続されているものをすべて取り外して再起動します)
(電源ケーブルやバッテリーを外し、電源ボタンを数回押した後、10分程度放置して静電気を逃します)
(PC内部を開け、メモリを一度抜き、スロットと接点を清掃してから差し直します。接触不良に有効です)
2. CMOSクリア(BIOS設定の初期化)
BIOS設定の破損や誤りが原因の場合、CMOSクリア(BIOS設定の工場出荷時への初期化)が非常に有効です。
方法1:CMOS電池の抜き差し
マザーボード上のボタン電池(CMOS電池)を取り外し、数分~15分ほど放置してから元に戻します。電力が供給されなくなることで、BIOS情報がリセットされます。
方法2:ジャンパピンのショート
デスクトップPCの場合、マザーボード上の「CLRTC」などと書かれたジャンパピンを、マニュアルに従って数秒間ショートさせることで、即座にリセットできます。
⚠️ CMOSクリア後の注意点
- CMOSクリアにより、日時やブート順序などのBIOS設定がすべてリセットされます。起動後に再設定が必要です。
- WindowsでBitLocker(ドライブ暗号化)を設定している場合、起動時に回復キーの入力を求められる可能性があるため、事前に回復キーを確認しておきましょう。
3. バッテリー(CMOS電池)交換
CMOS電池の寿命(3~4年)が原因である場合、電池を交換します。
- 電池の種類: 一般的にCR2032というボタン電池が多く使われ、コンビニや家電量販店で安価(100円~330円程度)に購入できます。
- 注意点(静電気): マザーボードは静電気に非常に弱いです。作業前には必ず金属に触れるなどして、静電気対策を徹底してください。
- 注意点(ノートPC): ノートPCの場合、分解が難しいだけでなく、CMOS電池がマザーボードに直接はんだ付けされている機種もあります。この場合、自力での交換はほぼ不可能なため、専門業者への依頼が推奨されます。
III. マザーボード故障の判断と修理費用
自力での対処法をすべて試しても症状が改善しない場合、マザーボードや電源ユニットといった基幹部品の重度なハードウェア故障が疑われます。
1. マザーボード故障の判断基準
以下の症状は、マザーボード故障の可能性が高い危険なサインです。
マザーボード故障のサイン
- 電源ボタンを押しても、ランプもファンも全く反応しない。
- ファンは回るが、すぐに電源が切れるなど、中途半端な通電状態になる。
- PC内部から異音や焦げた臭いがする。
- マザーボード上のコンデンサー(円筒形の部品)の膨らみや液漏れ、基板上に焦げ跡が目視できる。
マザーボードの故障は「パソコンの寿命」を示すサインとも言え、特に使用年数が長い(5年以上)場合は、高額な修理費用をかけるよりも買い替えが合理的な場合もあります。
2. 修理費用と期間の目安
BIOSが起動しない原因がマザーボードやそれに付随する部品にある場合、修理費用は高額になる傾向があります。
| 故障部品 / 症状 | 修理費用の相場(税込) | 備考 / 期間 |
|---|---|---|
| 起動・電源トラブル | 約19,800円~ | 診断費用や部品代によって変動 |
| マザーボード交換 | メーカー修理: ¥60,324~¥65,124 専門業者: ¥50,760~¥52,380 | 部品代が高価なため高額になる |
| 電源ユニット交換 | 専門業者: ¥19,440~¥21,060 | |
| マザーボード修理 | 専門業者: ¥6,600~ | ICチップやコンデンサ交換など、ピンポイント修理の場合 |
| CMOS電池交換(業者依頼) | 専門業者: ¥15,800~¥19,500 | ノートPCのマザーボード一体型など、分解が困難な場合 |
| 分解診断料 | ¥5,500 | 重症の可能性が高く、修理不能な場合でも発生する(即日~1週間程度お預かり) |
専門業者に依頼する場合、メーカーのようにマザーボードをまるごと交換(高額)するのではなく、マザーボード上のICチップやコンデンサーなど、故障箇所だけをピンポイントで修理(¥6,600~)してくれることがあり、費用を安価に抑えられる可能性があります。
⚠️ データ保護に関する注意
BIOSが起動しない原因がHDDやSSDの故障である場合、交換が必要となりますが、メーカー修理ではデータが初期化された状態で戻ってくることが多いです。データを保持したい場合は、初期化せずに修理を行う方針のパソコン修理専門業者(例:PC Fixs)や、データ復旧専門業者に相談すべきです。
まとめ:BIOS起動不良は「電池」と「設定」を疑い、ダメなら「基板」を疑う
この記事では、パソコンのBIOSが起動しない場合の対処法について解説しました。
- 症状:
電源は入るが画面は真っ暗、メーカーロゴすら表示されない。
- 初期対処:
まずは「周辺機器の取り外し」「放電」「メモリの抜き差し」を試します。
- 自力修理(中級):
「CMOSクリア(設定初期化)」や「CMOS電池(CR2032)交換」が有効な場合があります。ただし、静電気対策と(ノートPCの)分解難易度に注意が必要です。
- 重度故障のサイン:
「異音」「焦げた臭い」「コンデンサの膨らみ」が見られる場合は、マザーボード故障の可能性が非常に高いです。
- 修理費用:
マザーボード交換は5万円以上と高額ですが、専門業者による「基板修理(ピンポイント修理)」なら安価に済む可能性もあります。
BIOSが起動しないトラブルは、パソコンの最も根幹に関わる問題です。自力での対処は、静電気による他のパーツの損傷や、分解によって修理不能になるリスクが伴うため、不安を感じた場合は、無理せずプロの修理業者に依頼することが賢明です。








