【熱暴走】PCが異常に熱い!原因と対策、修理が必要なケースまで解説

  • 公開日:2025/11/9
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【熱暴走】PCが異常に熱い!原因と対策、修理が必要なケースまで解説

「最近パソコンの動作が遅い」
「ゲーム中に突然カクつく(ラグが発生する)」
「ファンが常にうるさく、本体が触れないほど熱い」

パソコンの異常な発熱は、パフォーマンス低下だけでなく、重大な故障やデータ損失、最悪の場合は発火のリスクさえ伴います。単なる「熱」と放置せず、適切な対処が必要です。

この記事では、パソコンが異常に熱くなる原因から、自分でできる冷却方法(ファン清掃、グリス再塗布)、熱暴走によるリスク、修理が必要なケースまで、網羅的に詳しく解説します。

⚠️ 異常な発熱は「故障のサイン」

パソコンの異常な高温は、人間で言えば「高熱」が出ている状態です。放置すると、CPUやマザーボード、ストレージ(HDD/SSD)の寿命が縮み、突然のシャットダウンによるデータ損失や、物理的な故障につながる可能性があります。


1. パソコンが異常に熱くなる主な原因

パソコンが異常な高温になる原因は、主に「内部の熱を外に逃がせない」ことにあります。

💡 PCの冷却は「エアコン」と同じ

パソコンの冷却システムは、部屋のエアコンに似ています。

  • CPU/GPU: 熱を生み出す「人間」や「家電」
  • 冷却ファン: 空気を循環させる「送風ファン」
  • 通気口: 「吸気口」と「排気口」
  • CPUグリス: 熱を効率よく伝えるための「断熱材」の逆

エアコンのフィルターにホコリが詰まると冷暖房の効率が劇的に落ちるように、パソコンも通気口やファンにホコリが溜まると、内部の熱を排出できなくなり、異常な高温になってしまいます。

主な原因は以下の4つです。

  1. ホコリやゴミの蓄積(排熱効率の低下)

    最も多い原因です。冷却ファンや通気口、ヒートシンク(放熱板)にホコリがびっしり溜まると、空気の流れ(エアフロー)が妨げられ、熱が内部にこもります。ホコリがファンに絡まり、異音の原因になることもあります。

  2. 冷却部品の劣化
    • CPUグリスの劣化: CPUやGPUとヒートシンクの間にある「熱伝導グリス」は、数年経つと乾燥してカピカピに固まります(グリスが切れる)。これにより熱交換がうまくいかなくなり、熱がCPUにこもり続けます。
    • ファンの故障: ファンは消耗品です。軸の摩耗やベアリングの劣化、羽根の破損などにより正常に回転しなくなり、冷却性能が落ちます。使用開始から2年程度でファンエラーが発生することもあります。
  3. 高負荷な作業の連続実行

    オンラインゲーム、動画編集、3Dレンダリングなど、CPUやGPUを酷使する作業を続けると、当然ながら発熱量も大きくなります。特にGeForce RTX 30シリーズなどの高性能GPUは、メモリー(GDDR6X)の発熱が90度を超えることもあり、強力な冷却が必要です。

  4. 設置環境の問題

    室温が高い(目安として35度超)環境では、そもそも冷たい空気を吸気できません。また、ノートPCを毛布や布団の上で使うと、底面の吸気口が塞がれ、熱がこもる原因になります。


2. 放置厳禁!熱暴走によるデータ損失リスクと影響

異常な高温状態を放置すると「熱暴走」を引き起こし、PCは自らを守るために様々な動作(異常)を起こします。

ステップ1: 異常発熱(冷却が追いつかない)
ステップ2: パフォーマンス低下(サーマルスロットリング)

(CPU/GPUが損傷を防ぐため、強制的に処理速度を落とす。ゲームがカクつく、動作が遅くなる)

ステップ3: フリーズ・強制終了

(温度が限界を超え、PCがフリーズする、または突然電源が落ちる・再起動を繰り返す)

ステップ4: データ損失・ハードウェア故障

(突然のシャットダウンで作業中データが消失。HDD/SSDのクラッシュ。マザーボードやCPUの物理的な故障)

A. パフォーマンスの低下(サーマルスロットリング)

CPUやGPU、SSDは、温度が上がりすぎると「サーマルスロットリング」という自己防衛機能が働きます。これは、機器が壊れるのを防ぐために、一時的に処理速度を強制的に低下させる仕組みです。これが、ゲーム中のフレームレート(fps)低下や、PC全体の動作が重くなる原因です。

B. データ損失リスクと物理的な故障

熱暴走による突然のシャットダウンは、作業中のデータが保存されずに消えてしまう原因になります。さらに深刻なのは、ストレージ(HDD/SSD)自体が高熱で物理的に破損し、ハードディスククラッシュを引き起こすことです。この場合、保存されたデータがすべて消失する恐れがあります。

特に「カチカチ」「カタカタ」といった異音と共に熱暴走が起きている場合、HDDの物理障害の可能性が非常に高く、即座に通電を中止し専門業者に相談すべきです。

C. 発火・爆発の危険性

最悪の場合、PCが物理的に高熱に耐えきれず、内部のコンデンサが破損したり、バッテリーが膨張・爆発したりして、火災につながるリスクもあります。


3. パソコンの冷却方法(内部メンテナンス編)

パソコン内部の熱対策として、最も効果的で根本的な解決策は、冷却部品のメンテナンスです。

1. ファン清掃(ホコリ除去)

定期的にPC内部や通気口のホコリを取り除くだけで、排熱効率は大きく向上します。エアダスターや除電ハケを使って掃除します。

⚠️ ノートPCのエアダスター使用に関する注意

ノートPCや分解が難しい一体型PCの場合、外から通気口にエアダスターを強く吹き付けると、ホコリの塊をファンの軸に押し込んでしまい、かえって症状が悪化したり、ファンが破損したりする可能性があります。分解せずに清掃する場合は、あくまで「軽く」吹き付ける程度に留めるか、掃除機で「吸い出す」方が安全な場合があります。

2. CPUグリスの再塗布(グリスアップ)

「PCを3~5年以上使っている」「清掃しても熱い」という場合に非常に効果的です。劣化した古いグリスを拭き取り、新しい高性能なグリスに塗り直すことで、熱伝導率が劇的に改善します。

  • 効果: CPU温度が10度以上、場合によっては30度ほど下がるケースもあります。
  • 異音解消: ノートPCのCPUファンの軸にグリスアップ(潤滑油を差す)ことで、異音が解消されることもあります。

3. 高性能サーマルパッドへの交換

GeForce RTX 30シリーズなど、GPU本体だけでなく「メモリ」も高温になるビデオカードの場合、メモリとヒートシンクの間にある「サーマルパッド」を高性能なものに交換することで、メモリ温度が約10度も低下した事例があります。

⚠️ グリス再塗布・パッド交換の保証リスク

CPUクーラーやGPUクーラーの取り外しを伴う「グリスの塗り直し」や「パッド交換」は、メーカーの保証期間内であっても、分解した時点で保証が一切なくなるリスクがあります。このリスクを理解した上で、自己責任で行うか、専門業者に依頼する必要があります。


4. パソコンの冷却方法(外部冷却編)

内部のメンテナンスが難しい場合でも、外部から冷却を補助することで大きな効果が得られます。

今すぐできる外部冷却対策

  • 室温を下げる(最も基本的)

    エアコンなどを使って部屋の温度を下げる。室温が下がれば、PCが吸い込む空気の温度も下がり、放熱効率が高まります。
  • 冷却パッド / 冷却台の利用(ノートPC)

    ノートPCの底面に空間を作り、通気性を向上させます。ファン付きのモデルは、さらに強制的に冷却します。
  • サーキュレーター / 小型扇風機の活用

    PCの吸気口(空気を吸い込む場所)の近くにサーキュレーターや扇風機を置き、直接送風します。風量が増すため、CPUやSSDの温度を約5度低下させた事例もあります。
  • PCケースの開放(デスクトップPC)

    デスクトップPCのサイドパネルを開けっ放しにするだけでも、内部に熱がこもりにくくなり、簡単に5度以上温度が低下する場合があります。(ただし、ホコリが入りやすくなる諸刃の剣でもあります)

⚠️ やってはいけないNG冷却法:氷や保冷剤

「熱いから冷やそう」と、氷や保冷剤をPC本体に直接当てるのは絶対に避けてください。急激な温度変化により、PC内部に「結露」が発生し、水滴が付着します。これは水没と同じ状況であり、回路がショートして故障する原因になります。


5. 修理が必要なケースと費用目安

セルフメンテナンスや外部冷却を試しても改善しない場合や、以下の症状が出ている場合は、内部パーツの物理的な故障が疑われます。速やかに専門業者に相談しましょう。

修理を検討すべき危険なサイン

  • ファンエラーが表示され、PCが起動しない。
  • ファンから「カラカラ」「ガリガリ」といった明らかな異音がする。(ファンの軸ズレや破損のサインです)
  • ファンが常に高速回転し、うるさい状態が続く。(清掃しても収まらない場合)
  • フリーズや突然の電源落ちが頻発する。
  • 自分で分解・清掃・グリス再塗布を行うのが難しい、または不安。(特にノートPCやSurfaceなど分解難易度が高い機種)

B. 修理費用の目安

ファンや冷却系に関する修理の費用目安は以下の通りです。

  • 内部清掃(クリーニング): 3,000円 ~ 14,000円
  • CPUファン分解清掃・グリスアップ: 9,500円(税別)~

    (例:診断料2,500円+工賃7,000円~)
  • ファン交換修理: 13,500円(税別)~

    (例:診断料+交換費7,000円~+部品代4,000円~)
  • 熱暴走/不安定改善サポート(PCホスピタル): 約11,000円~

    (基本料金8,800円+出張料金2,200円+作業料金)

ファンの交換が必要な場合、部品在庫があれば即日修理が可能な業者もありますが、取り寄せが必要な場合は通常1~2週間かかることがあります。

参考情報

修理料金やサービス内容は、各専門業者の公式サイトをご確認ください。

まとめ:PCの「高熱」は放置せず、原因に応じた対処を

この記事では、パソコンが異常に熱くなる原因と対策について網羅的に解説しました。

  • 発熱の主な原因:

    「ホコリの蓄積」と「CPUグリスの劣化」が二大原因です。

  • 熱暴走のリスク:

    パフォーマンス低下(サーマルスロットリング)だけでなく、データ損失物理故障火災のリスクがあります。

  • 内部メンテナンス:

    「ファン清掃」と「グリス再塗布」が根本的な解決策ですが、保証が切れるリスクを伴います。

  • 外部冷却:

    「室温を下げる」「冷却パッド」「サーキュレーター」が有効です。氷や保冷剤は結露(水没)の原因になるため厳禁です。

  • 修理のサイン:

    「異音」「ファンエラー」「頻繁なシャットダウン」は、内部パーツ故障のサインです。速やかに専門業者に相談しましょう。

パソコンの「熱」は、重要なSOSサインです。放置せずに原因を特定し、清掃やメンテナンス、場合によっては専門家の力を借りて、大切なデータを守りましょう。

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