パソコン修理前に必ずやるべきデータ保護対策|バックアップと削除の完全ガイド

  • 公開日:2025/11/9
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「パソコンを修理に出したいけど、データが心配…」と不安を感じていませんか?

この記事では、パソコン修理前に必ずやるべきデータ保護対策について、バックアップの取り方、見られたくないデータの削除方法、暗号化の設定、修理業者のデータ保護方針の確認ポイントまで詳しく解説します。

この記事を読めば、データを守りながら安心して修理に出す方法がわかります。(専門知識は不要です!)

注:データ保護の方法は様々です。この記事では一般的な対策に焦点を当てていますが、企業や組織の場合は、より厳格なセキュリティポリシーに従う必要があります。

⚠️ メーカー修理の重要な注意点

メーカー修理では、データ初期化(削除)が原則となるケースが多く、修理後にデータが消えていることが一般的です。修理に出す前に必ずバックアップを取ることが必須です。


1. 最重要対策:データの完全バックアップの取り方

修理作業中に予期せぬデータ消失やシステムトラブルが発生する可能性が高いため、修理に出す前に必ずデータのバックアップを実施することが最も重要です。

💡 バックアップは「命綱」

データのバックアップは、高所作業の命綱のようなものです。普段は使わないかもしれませんが、万が一の事故(データ消失)が起きたとき、命綱(バックアップ)があれば大切なもの(データ)を失わずに済みます。作業前に必ず装着する(バックアップを取る)のが鉄則です。

A. バックアップの場所と方法

重要なファイルやデータは、事前に安全な場所へ保管しておくことで、万が一の際にも情報が守られます。

1. 外部ストレージの活用

外付けハードディスク(HDD)やSSD、USBメモリを利用してデータをコピーします。

外付けHDD

特徴: 大容量データの保存に適しており、1TB〜4TB程度の容量が一般的です。

メリット: 価格が安く、大量のデータを保存できる

注意点: 衝撃に弱いため、取り扱いに注意が必要

外付けSSD

特徴: 衝撃に強く壊れにくい、データ転送速度が速い

メリット: 持ち運びに便利、静音性が高い

注意点: HDDより価格が高め

2. クラウドストレージの利用

OneDrive、Google Drive、iCloudなどのクラウドストレージを活用します。

主要クラウドサービスの無料容量

  • Microsoft OneDrive:5GBまで無料
  • Google Drive:15GBまで無料
  • iCloud(Apple):5GBまで無料
  • Dropbox:2GBまで無料

クラウドストレージのメリット:

  • インターネットを通じてどこからでもアクセス可能
  • 自動バックアップ機能を持つサービスもあり、時間の節約になる
  • 物理的な破損のリスクがない

3. システムイメージの作成

MiniTool ShadowMakerなどの専門ソフトを使用すると、ファイルやフォルダだけでなく、パソコンを以前の状態に復元できるようにシステムイメージを作成できます。

💡 システムイメージは「家全体の写真」

システムイメージの作成は、引っ越し前に家全体の写真を撮るようなものです。個別の荷物(ファイル)だけでなく、家具の配置(システム設定)、壁紙(デスクトップ環境)まですべてを記録しておけば、新居(修理後のパソコン)で完全に同じ状態を再現できます。

4. OS標準機能の活用

Windowsの場合:

  • 「ファイル履歴」機能:ドキュメント、写真、動画などを自動的にバックアップ
  • 「バックアップと復元(Windows 7)」機能:システム全体のバックアップが可能

Macの場合:

  • 「Time Machine」:システム全体を自動でバックアップ
  • 「iCloud」:写真、書類などを自動的にクラウドに保存
ステップ1:バックアップ先を決める(外部ストレージまたはクラウド)
ステップ2:重要なファイルを選択してコピー
ステップ3:バックアップが正常に完了したか確認
ステップ4:可能であればシステムイメージも作成
完了:修理に出す準備が整いました

B. バックアップ後の確認と注意点

バックアップ完了後の確認事項

  • バックアップしたファイルが正常に開けるか確認
  • 重要なファイルがすべて含まれているか確認
  • バックアップ先のストレージに十分な空き容量があるか確認
  • 外部ストレージの場合、正常に読み書きできるか確認
  • クラウドの場合、アップロードが完全に完了しているか確認

故障によりパソコンが起動しない場合の対処法:

パソコンが起動しない状態でも、専門業者に相談することでデータを取り出せる可能性があります。多くのパソコン修理業者は、修理を依頼する際に担当者が事前にバックアップを取ってくれるサービスを提供しています。


2. 見られたくないデータの完全消去と整理

修理担当者が業務上やむを得ずファイルを開く可能性があるため、見られたくないデータや機密情報はバックアップを取った後に削除することが強く推奨されます。

⚠️ 法人の場合は特に注意

法人の場合、業務上のやり取りや社外秘の資料は情報漏洩によって重大なトラブルが発生する恐れがあります。顧客情報、取引先情報、財務データなどは必ず削除しておきましょう。

A. データの完全消去

単純なファイル削除やゴミ箱を空にしただけでは、データ復元ソフトを使えば簡単に復元されてしまう危険性があります。

完全消去が必要な理由

通常の削除では、ファイルの「見出し」が消えるだけで、実際のデータは記憶装置に残っています。これは、図書館で本の目録カードを捨てても、本そのものは書架に残っているようなものです。

完全消去の方法

1. 完全消去ソフトの利用

MiniTool Partition Wizardの無料版などに搭載されている機能を使用します。

  • 仕組み: ハードドライブやパーティションにゼロや1をランダムに上書きすることで、データを完全に消去
  • 効果: どんなソフトウェアでも復元できない状態にする
  • 所要時間: ドライブの容量によって数時間かかる場合がある

2. 初期化(ファクトリーリセット)

パソコンを購入時の状態に戻す方法です。

Windowsの初期化方法:

  • 「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」→「このPCを初期状態に戻す」

Macの初期化方法:

  • 再起動時に「Command + R」を押してリカバリーモードを起動
  • 「ディスクユーティリティ」でドライブを消去

⚠️ 初期化の注意点

初期化すると後でインストールしたデータや作成ファイルがすべて削除されます。ただし、初期化しても専門的なツールを使えば完全にデータが消えるわけではない点に注意が必要です。より確実な保護には完全消去ソフトの使用を推奨します。

B. 閲覧履歴、キャッシュ、アカウント情報の削除

修理前に削除すべき情報リスト

  • Webブラウザの閲覧履歴
  • Cookie(自動ログイン情報など)
  • キャッシュ(一時保存されたWebページデータ)
  • ブラウザに保存されているパスワード
  • オンラインアカウントのログイン状態
  • ダウンロード履歴
  • 検索履歴

1. ブラウザの履歴・Cookie・キャッシュの削除

Google Chromeの場合:

  • 「設定」→「プライバシーとセキュリティ」→「閲覧履歴データの削除」
  • 「全期間」を選択してすべて削除

Microsoft Edgeの場合:

  • 「設定」→「プライバシー、検索、サービス」→「閲覧データをクリア」

Safariの場合:

  • 「履歴」→「履歴を消去」

2. 保存パスワードの削除

ブラウザに保存されているパスワードは、情報漏洩を防ぐためにすべて削除しましょう。

  • Chrome:「設定」→「パスワード」→個別に削除
  • Edge:「設定」→「プロファイル」→「パスワード」
  • Safari:「環境設定」→「パスワード」

3. オンラインアカウントのログアウト

必ずログアウトすべきアカウント

  • SNS(Facebook、Twitter、Instagramなど)
  • 銀行口座、証券口座
  • LINE、WhatsAppなどのメッセージアプリ
  • Apple ID、Microsoftアカウント
  • Amazon、楽天などのショッピングサイト
  • メールアカウント(Gmail、Outlookなど)
  • クラウドストレージ(Dropbox、OneDriveなど)

4. 周辺機器の取り外し

紛失や破損のリスクを避けるため、以下はすべて取り外します:

  • USBメモリ
  • 外付けHDD/SSD
  • SDカード
  • マウス、キーボード(無線タイプ)
  • Webカメラ
  • その他の外部接続機器

3. 暗号化の設定とアクセス制限(パスワード対策)

データ漏洩のリスクを最小限に抑えるため、バックアップや削除と合わせて暗号化やアクセス制限を活用します。

A. データの暗号化

データを暗号化することで、読み取り可能なデータを読み取り不可能なデータに変換し、権限のないユーザーがデバイスを手にしても、データは安全に保護されます。

Windows:BitLockerの使用

BitLockerは、Windowsに標準搭載されている暗号化ツールで、パーティション全体を丸ごと暗号化できます。

対応OS:

  • Windows 10 Pro、Enterprise、Education
  • Windows 11 Pro、Enterprise、Education
  • ※Home エディションでは利用できません

BitLockerの有効化手順:

  1. 「コントロールパネル」→「BitLockerドライブ暗号化」
  2. 暗号化したいドライブを選択
  3. 「BitLockerを有効にする」をクリック
  4. 回復キーを保存(紛失すると復号できなくなるため重要)
  5. 暗号化の開始

⚠️ 回復キーの重要性

BitLockerの回復キーは絶対に安全な場所に保管してください。キーを紛失すると、暗号化されたデータに永久にアクセスできなくなります。印刷して金庫に保管する、別のUSBメモリに保存する、Microsoftアカウントに保存するなどの方法があります。

Mac:FileVaultの使用

FileVaultは、Macの標準暗号化機能です。

FileVaultの有効化手順:

  1. 「システム環境設定」→「セキュリティとプライバシー」
  2. 「FileVault」タブを選択
  3. 「FileVaultをオンにする」をクリック
  4. 回復キーを保存
  5. 再起動して暗号化を開始

B. 修理時のアクセス制限(ゲストアカウントの活用)

修理作業を円滑に進めるため、技術者がログインパスワードを求めてくることがありますが、メインアカウントのパスワードを教えることに抵抗がある場合は対策が必要です。

❌ 避けるべき対応

メインアカウントのパスワードを教える

リスク:すべてのデータにアクセスされる可能性がある

✅ 推奨される対応

ゲストアカウントを作成

メリット:パーソナルデータへのアクセスを防ぎ、必要最低限の動作チェックのみを可能にする

ゲストアカウントの作成方法

Windowsの場合:

  1. 「設定」→「アカウント」→「家族とその他のユーザー」
  2. 「その他のユーザーをこのPCに追加」
  3. 「このユーザーのサインイン情報がありません」を選択
  4. 「Microsoftアカウントを持たないユーザーを追加する」
  5. ユーザー名とパスワードを設定

Macの場合:

  1. 「システム環境設定」→「ユーザとグループ」
  2. 左下の錠前アイコンをクリックして解除
  3. 「+」ボタンをクリック
  4. 「新規アカウント」で「標準」を選択
  5. アカウント情報を入力

修理完了後の必須対応

  • すべてのパスワードを直ちに変更する
  • ゲストアカウントを削除する
  • ログイン履歴を確認する
  • 不審なファイルやソフトウェアがインストールされていないか確認
  • 重要なアカウントで二段階認証を有効にする

4. 修理業者のデータ保護方針の確認ポイント

信頼できる業者を選ぶことが、データ漏洩のリスクを根本的に減らすための重要なポイントです。

確認すべき重要ポイント一覧

セキュリティ認証の有無

確認内容: プライバシーマーク や ISO/IEC 27001(ISMS認証)を取得しているか

重要度: ★★★★★(最重要)

理由: これらは個人情報保護に関する厳格な基準を満たしている証拠です

データ保護ポリシーの確認

確認内容: 顧客データがどのように扱われるのか、データ保護の方針が明確に公表されているか

重要度: ★★★★★(最重要)

確認方法: 公式サイトのプライバシーポリシーを確認、または直接問い合わせる

初期化の必要性の確認

確認内容: 依頼する修理がOS再インストールやストレージ交換を伴い、データが消える可能性があるか

重要度: ★★★★☆

対応: 事前に業者に確認し、必要に応じてバックアップを取る

データ保全対応

確認内容: データを消さずに修理してくれるか、またはバックアップサービスを提供しているか

重要度: ★★★★☆

メリット: データ保護を優先する業者を選ぶことで安心感が高まる

出張修理の活用

出張修理のメリット

  • パソコンを業者に持ち運ばせない
  • データの持ち出しが発生しない
  • 修理の様子を自分の目で確認できる
  • 不要なデータアクセスを監視できる
  • リスクを最小限に抑えられる

データを見られたくない場合、出張修理を利用すると、データの持ち出しが発生せず、リスクを低く抑えられます。

データ消去方法の確認

修理後、作業用機器に保存された顧客データが確実に消去されるかを確認すると、さらに安心です。

推奨される消去基準:

  • NIST SP800-88 rev.1: 米国国立標準技術研究所が定めるデータ消去ガイドライン
  • DoD 5220.22-M: 米国国防総省の消去基準

これらのガイドラインに準拠した方法でデータが消去されているかを業者に確認しましょう。

ステップ1:業者の公式サイトでセキュリティ認証を確認
ステップ2:データ保護ポリシーを読む
ステップ3:修理内容とデータ保全の可否を問い合わせる
ステップ4:出張修理の可否を確認
ステップ5:複数の業者を比較して最適な業者を選択

業者選びのチェックリスト

信頼できる修理業者の条件

  • プライバシーマークまたはISMS認証を取得している
  • データ保護方針が公式サイトに明記されている
  • 口コミや評判が良好
  • 修理実績が豊富
  • 見積もりが明確で追加料金の説明がある
  • 修理後の保証期間がある
  • 問い合わせ対応が丁寧
  • 出張修理サービスを提供している(希望する場合)

まとめ:パソコン修理前のデータ保護対策

この記事では、パソコン修理に出す前のデータ保護対策について解説しました:

  • データの完全バックアップ:最重要対策

    外部ストレージ(HDD、SSD、USBメモリ)やクラウドストレージ(OneDrive、Google Drive、iCloud)を活用し、重要なデータを必ず保存しましょう。システムイメージの作成やOS標準機能の活用も効果的です。バックアップ後は必ず正常に保存されているか確認してください。

  • 見られたくないデータの完全消去:プライバシー保護の基本

    通常の削除では復元される可能性があるため、完全消去ソフト(MiniTool Partition Wizard等)や初期化を活用しましょう。ブラウザの閲覧履歴、Cookie、保存パスワード、オンラインアカウントのログアウト、周辺機器の取り外しも忘れずに実施してください。

  • 暗号化の設定とアクセス制限:多層防御

    WindowsのBitLockerやMacのFileVaultを使ってデータを暗号化しましょう。修理時にはゲストアカウントを作成し、メインアカウントのパスワードは教えないようにします。修理完了後は必ずすべてのパスワードを変更してください。

  • 修理業者のデータ保護方針の確認:業者選びが重要

    プライバシーマークやISMS認証(ISO/IEC 27001)を取得している業者を選び、データ保護ポリシーが明確に公表されているか確認しましょう。データ保全対応や出張修理の可否、データ消去方法(NIST SP800-88 rev.1等の基準)についても事前に確認することで、より安心して修理を依頼できます。

💡 データ保護対策は「転ばぬ先の杖」

修理に出す前にバックアップ(命綱)を確保し、不要な情報(見られたくない荷物)を整理・削除し、鍵をかける(暗号化)ことが、安心して修理を依頼するための基本となります。少し手間はかかりますが、大切なデータとプライバシーを守るための必須の対策です。

パソコン修理は、適切な事前準備をすることで、データを守りながら安全に実施できます。この記事で紹介した対策をしっかり実施して、安心して修理に出しましょう。

データ保護は「やりすぎ」ということはありません。大切な情報を守るため、できる限りの対策を講じることをお勧めします。

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